2008.05.28 書評:マッチ箱の脳
マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話
(2000/12)
森川 幸人

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 初めて読んで納得できた人工知能解説書です。

 現在の人工知能に使われている考え(アルゴリズム)を分かりやすく解説し、その得手不得手や実際にどのような処理を中で行っているかを自分の中ではっきりイメージできたのは本書が初めてです。今までの人工知能の本は、高くて不味かった……。

 巻末に収録された“その他”に書かれていた、節足動物と脊椎動物の「知能」そのものの違いが個人的に一番印象に残っています。そもそも知能っていうものを理解していないのに作ろうとしてるんですよね、人類って。チャレンジャーだなぁ。

 いくら仕組みは知らなくてもスイッチを押せば家電製品が使えるからって、作り手が分かってなければ手も足も出ないと思うのですが。素人考えでしょうか。

 本書はネット上で(無料で!)公開されているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

ほぼ日刊イトイ新聞 - がんばれ森川くんの遺伝子くん はてなユーザーの評価
 コンピュータの教科書というか、パソコンの教科書。

あたらしい教科書〈9〉コンピュータ (あたらしい教科書 (9))あたらしい教科書〈9〉コンピュータ (あたらしい教科書 (9))
(2006/10)
山形 浩生

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 コンピュータのきもちの著者が監修した、コンピュータの教科書。

 コンピュータを理解する上で必須のキーワード解説や、今までたどってきた歴史などをヴィジュアルを交えて分かりやすく解説しています。確かに、教科書と呼ぶにふさわしい内容だと思います。

 ただ、教科書として見ると少々“今”を追いすぎていて、あと2〜3年後には陳腐化しそうな内容も見受けられます。この本は、あくまで2006年の教科書として完成されている印象です。

 これを毎年更新して、内容を足したり引いたりして常に新鮮な情報を付け加えるなら素晴らしい教科書になると思います。大学のコンピュータリテラシーの授業をうけるくらいなら、この本一冊読んだほうが勉強になりますね。
2008.03.11 書評:生物と無生物のあいだ
 生きてるって、何?

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)
(2007/05/18)
福岡 伸一

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 生物学者である著者が、現在の生物学がどのような変遷をたどって形作られたか、そのなかで描かれるドラマ、人間模様や挫折・苦悩を描いた傑作。

 紛れも無く傑作ではあるのですが、私の理解力では、内容の1割も理解したと言い切ることが出来ないのが悔しい。工学系が専門だからといいわけをすることはたやすいけれど、そこを逃げずに何度も読み返し、他の生物学の入門書にもチャレンジしてみたいと思います。

 なにより、内容の1割も理解できていない自分が、はっきりと傑作だとわかることが傑作(自嘲の意味で)です。多分、頭の中でものすごい勢いで分かった“つもり”で処理がなされているからなのでしょう。

 多少、文学的に書かれすぎているのが気になります。もう少しその部分を削って解説を分かりやすくしてくれれば……とも思いますが、この“文学的”という要素が無ければこれほど読みすすめることが出来たか自信がありません。バランス、なのですかね。

 今回は図書館で借りたので、改めて購入したいと思った一冊でした。
2008.02.08 書評:ロボット進化論
 人造人間というロマンではなく、日常を支える技術へ。

ロボット進化論―「人造人間」から「人と共存するシステム」へ (東京理科大学・坊っちゃん選書)ロボット進化論―「人造人間」から「人と共存するシステム」へ (東京理科大学・坊っちゃん選書)
(2006/07)
小林 宏

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 ロボット受付嬢やマッスルスーツで有名な小林宏先生の著書。
 ロボットを人間に近づけるのではなく、実用的なロボットを作った方が役に立つという「そりゃそうだ」としか言えない正論を展開しています。(ほめてますよ?)

 私もロボットにあこがれて工学部の道に進んだ人間なので、どうしてもロボットを作るとなるとアトムやドラえもんのイメージから逃れることができません。うちの大学に至ってはポスターにアトムを描いて、やってることはロボットの腕の開発です(もちろん義手などに応用できるので重要な研究ではあります)。

 それが悪いというわけではないのですが、現在のロボットが完全に自立した存在ではない。設計コンセプト・技術がそれに追いついていないという現状をかんがみるに、ロボット=人間と共存するシステムという小林先生の捕え方が一番現実的なのではないかと感じました。

 技術の世界は日進月歩。昔は宇宙飛行士のお化けにしか見えなかったロボットが自転車に乗って走る時代になりました。この本を読みながら、10年後、20年後にはどんな姿をしたロボット(もしくはシステム)が動いているのか想像が膨らみます。

 改めて、面白い時代に生きていると感じました。