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書評:陰陽師

陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)
(1991/02)
夢枕 獏

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 奇妙な男の話をする。
 たとえて言うなら、風に漂いながら、夜の虚空に浮く雲のような男の話しだ。
 闇に浮いた雲は、一瞬前も一瞬後も、どれほどかたちを変えたようにも見えないが、見つめていれば、いつの間にかその姿を変えている。同じ雲であるはずなのに、その在様の捕えどころがない。
 そんな男の話しだ。


 という冒頭で始まるこの小説は、平安時代を舞台に活躍した、あまりにも有名な陰陽師安倍晴明が主人公の物語です。

 独特の、強くも無く、かといって弱いわけでもない、独特の流れるような文体で書かれた文章は、まさに夢枕獏のようにとしか表現の仕様が無い世界を演出しています。

 事細かに描写しているわけでもないのに、その文字を眺めていると、四季のうつろいを縁側で酒を飲みながら眺めている男二人の姿が、自分がそこにいるかのように感じられる。同じ日本語で、同じ言葉で書かれたものなのに、それを表現するのにはあまりにも言葉の表現力(もしくは私自身の表現力)が足りないと痛感します。

 闇が闇として残り、人も、鬼も、もののけも、同じ都の暗がりの中に、時には同じ屋根の下に、息をひそめて一緒に住んでいた時代の物語。お勧めです。

テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 小説・文学

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