2008.05.04 書評:姑獲鳥の夏
 やさしい脳の中の幻想。

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)
(1998/09)
京極 夏彦

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 いわずと知れた京極夏彦の処女作。数年前に読んだことはあったのですが、前回読んだ脳みそに関する情報を、自分の脳みそに低速インストールしている最中に、急にポップアップで京極が似たようなこと書いてたと出てきたので読み返してみました。

 そしたらまあでるわでるわ。人間の認識に関する考察から記憶というものの不思議まで、実にさまざまな考え方が示されています。こうやって読んでいると、文章というただの文字の羅列でしかないものを人は目で見て、認識して、解析して、解釈して、取り込むことができる。そしてそれを頭の中で立体として展開することだって、できる。

 小説っていう存在は、どうしても人間の脳の不思議さにたいして自覚的にならざるえないメディアなのかもしれません。

 ミステリーとしてのトリックは正直おいおいとツッコミ入れたくもなりますが、“小説”として読んだ場合これほど脳みそに直接訴えかけてくる“情報”は無いと断言できるほどの面白さです。

 まだ読んでいない人は、ぜひ一度読んでみてほしい一冊です。

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