2007/09/05
哀しいまでに運が無い男の、悲しいまでに不器用な生き方

浅田次郎 「憑神」
婿養子として入った家からは追い出され、妻子と無理やり引き離され、同期の友は順調に出世していくが、自分はしがない下級武士。
そんな不幸な主人公が、破れかぶれの神頼みをした神社は、神は神でも「災いの神」を祭った神社だった。
貧乏神、疫病神、死神。
それぞれがそれぞれ最悪の神に憑かれることになった男は、そこで自分の人生の意味を深く考え直すことになる。
といったお話。
もうあらすじだけで主人公の不幸っぷりは十分わかりますが、この小説を読み終わった後には、誰も主人公のことを一概に「不幸」だと言うことは出来なくなります。
頭も切れるし、腕も立つ。何にどうしようもなく運が無い主人公。大抵不運な主人公の物語って、そりゃ運も悪くなるよって性格や行動を普段しているものですが、この主人公はてっ辺からつま先まで「いい人」の見本。
どうしてこれで運が悪くなるのだろうと不思議に思うほど、実直でいい男。融通はきかないけど。
その主人公が悩み、苦しみ、そして最後に出した決断を見た時、鳥肌が立ちました。自分には絶対にまねることの出来ない人の生き様を、こうしてみることが出来るのが小説の楽しみの一つかもしれません。
とにもかくにも、お勧めの小説です。

