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書評:続「超」整理法・時間編

 時間を整理?

続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法 (中公新書)続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法 (中公新書)
(1995/01)
野口 悠紀雄

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 押し出しファイリングを紹介した「超」整理法の著者が、時間の節約術について書いた一冊。


 しかし、この整理法と時間がイコールでつながっているのを見ると違和感がありますね。

 確かに、整理されて無いと余計な時間を浪費することもありますし、時間が無いと整理することもできないという負のスパイラルによく陥りますから、別々に論ずるよりはまとめたほうが有効なのかもしれません。

 しかし何か違和感がある。

 何でだろうと考えてみると、多分この本がぜんぜん“整理されていない”時間管理の本だからだと思います。それぞれの章でのノウハウは確かに有効そうで、私も行っている内容もあります。しかし、それがただ羅列されているだけで、ぜんぜん体系だった知識として頭に入ってこない。前作と比べて、あまりにも構成の錬度が足りないという印象です。

 個々の内容は素晴らしいのに、その点だけが非常に残念でした。

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私の知的生産の技術

 実践し続けた人たちのお話。

私の知的生産の技術 (岩波新書)私の知的生産の技術 (岩波新書)
(1988/11)
梅棹 忠夫

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 自分なりの知的生産の技術を生み出し、それを実践し続けた人たちのコラム集です。この本の原稿は一般から募集されているため、大学の教授から主婦まで、それぞれ個性豊かな生産法にあふれています。

 一番印象的だったのは「盲人の場合」というタイトルの盲学校教師の方が書かれたコラム。つい最近目が見えない人が実際にパソコンを自在に操作するところを目の当たりにし非常に感銘を受けたばかりなのでよりいっそう興味深く読むことができました。

 知的生産というと、紙やパソコンを使って“なんぼ”という風潮が見受けられるので、それが使えない人は一体どうやって工夫するのだろうと疑問に思っていた部分が解消されました。

 よくよく考えていると、我がバイブルの一冊「知的生産の技術」の著者である梅棹忠夫氏も視力を失ってもなお精力的に活動されているのですから、方法はあるはずなんですよね。

 必要に迫られたときに人間の柔軟力と発想力に純粋に感動を覚えました。

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書評:レオナルド・ダ・ヴィンチの手記

 天才すぎる。

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上   岩波文庫 青 550-1レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 岩波文庫 青 550-1
(1954/01)
レオナルド ダ・ヴィンチ

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レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 下    岩波文庫 青 550-2レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 下  岩波文庫 青 550-2
(1958/01)
レオナルド ダ・ヴィンチ

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 ダヴィンチと言えば、彫刻から絵画までマルチな才能でしられていますが、まさかここまで天才だったとは。

 各地に散在したダヴィンチの手帳を纏め上げ、本にしたのが本書です。1ページに2~4編ほどがつづられており、本と言うよりは一言ブログの集合体のような形式になっています。

 それが面白い&美しい文体で、飽きもせず上下巻一気に読んでしまいました。旧漢字表記なので読みづらいことこの上ないのですが、それを忘れさせるほどおもしろかったです。

 私も手帳を付けているのですが、ダヴィンチの手帳と見比べて見るとその中身の無さに凹みます。


 一つだけ気になったのは、坊主(宣教師?)と詩人に対する辛らつな態度。もしかしたら、ダヴィンチって聖書をモチーフとした作品を作ることがいやだったんじゃないかと思えるくらいこき下ろしています。まあ、聖書って絵画より遥かに人々の中に浸透した作品だったでしょうから、悔しい部分があったのかもしれませんけど。

 一ページ、この本のように文学的(科学的)な読みごたえのある文章を手帳に書こうとして、その難しさとダヴィンチの偉大さを感じました。

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書評:不思議の国のアリス(訳:北村太郎)

 訳としての“正しさ”と“おもしろさ”の違い。

ふしぎの国のアリス (集英社文庫)ふしぎの国のアリス (集英社文庫)
(1992/03)
ルイス・キャロル、北村 太郎 他

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 私は不思議の国のアリスが大好きで、様々な翻訳本を読んできましたが、この本が一番個性的でした。
 そして、多分一番翻訳として“正しい”のもこの本でしょう。

 語り部としてのルイスキャロルが上層中流階級の英語を使っていたであろう事実から、他の訳書特有の上品さを消し去り、アリスのセリフもフランク(というかざっくばらん)な口調に変更しています。

 そんな特徴的な本書を読んでいて、気がついたことが一つ。


 翻訳としての正しさと、小説としてのおもしろさは、イコールではない。


 私が今までこのアリスという小説を読んでいるとき常に頭にあったイメージは、「少女を愛してやまない男が、愛すべき少女を主人公にしたて、愛すべき少女に語った物語」というものです。

 そのイメージで読むと、本書はなんというか、その、男臭すぎるんですね。少女性を感じません。確かに、語り部がルイスキャロルという30代のおっさんですから男臭いのは当然でしょうけど、それをそのまま翻訳した本書と、あえて少女の物語として翻訳した他の本と比べてどちらが読んでいて面白いかと言えば、圧倒的に後者です。

 翻訳とは、おもしろさとは何かと考えさせられる本でした。

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書評:陰陽師

陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)
(1991/02)
夢枕 獏

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 奇妙な男の話をする。
 たとえて言うなら、風に漂いながら、夜の虚空に浮く雲のような男の話しだ。
 闇に浮いた雲は、一瞬前も一瞬後も、どれほどかたちを変えたようにも見えないが、見つめていれば、いつの間にかその姿を変えている。同じ雲であるはずなのに、その在様の捕えどころがない。
 そんな男の話しだ。


 という冒頭で始まるこの小説は、平安時代を舞台に活躍した、あまりにも有名な陰陽師安倍晴明が主人公の物語です。

 独特の、強くも無く、かといって弱いわけでもない、独特の流れるような文体で書かれた文章は、まさに夢枕獏のようにとしか表現の仕様が無い世界を演出しています。

 事細かに描写しているわけでもないのに、その文字を眺めていると、四季のうつろいを縁側で酒を飲みながら眺めている男二人の姿が、自分がそこにいるかのように感じられる。同じ日本語で、同じ言葉で書かれたものなのに、それを表現するのにはあまりにも言葉の表現力(もしくは私自身の表現力)が足りないと痛感します。

 闇が闇として残り、人も、鬼も、もののけも、同じ都の暗がりの中に、時には同じ屋根の下に、息をひそめて一緒に住んでいた時代の物語。お勧めです。

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哀しいまでに運が無い男の、悲しいまでに不器用な生き方



浅田次郎 「憑神」
 婿養子として入った家からは追い出され、妻子と無理やり引き離され、同期の友は順調に出世していくが、自分はしがない下級武士。
 そんな不幸な主人公が、破れかぶれの神頼みをした神社は、神は神でも「災いの神」を祭った神社だった。
 貧乏神、疫病神、死神。
 それぞれがそれぞれ最悪の神に憑かれることになった男は、そこで自分の人生の意味を深く考え直すことになる。

といったお話。
 もうあらすじだけで主人公の不幸っぷりは十分わかりますが、この小説を読み終わった後には、誰も主人公のことを一概に「不幸」だと言うことは出来なくなります。

 頭も切れるし、腕も立つ。何にどうしようもなく運が無い主人公。大抵不運な主人公の物語って、そりゃ運も悪くなるよって性格や行動を普段しているものですが、この主人公はてっ辺からつま先まで「いい人」の見本。

 どうしてこれで運が悪くなるのだろうと不思議に思うほど、実直でいい男。融通はきかないけど。

 その主人公が悩み、苦しみ、そして最後に出した決断を見た時、鳥肌が立ちました。自分には絶対にまねることの出来ない人の生き様を、こうしてみることが出来るのが小説の楽しみの一つかもしれません。

 とにもかくにも、お勧めの小説です。

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映画と人形と人間

壊れそうな装丁
映画を見に行かねばならない。死んだ17番目の妹のために。23人の妹がいるが、死ぬのは決まって17番目の妹だ。
というくだりで始まるこの本は、序盤からかなりの摩訶不思議ワールドへ突入します。

正直万人にお勧めできる本ではありません(それでも私は大好きですが)。

主人公の妄想とも、現実とも取れない(そもそもこの世界にそれらの区別があるかどうかもわかりませんが)記述と、古書のような表記。

小説という「物」を、文章だけでなく、装丁から外観、構成にいたる「本そのもの」を小説だと定義した場合に始めて一冊の「本」として完成するような作りになっています。

これを読んだ人は、「面白い」「つまらない」と二極化した感想のどちらかを抱くでしょう。

この世界では、自分の常識など通用せず、あるのはただ登場人物たちが魅せる世界のみ。

そんな本が読みたいなら、(ちょっと高いけど)手にとってみるのもいいかもしれません。

ちなみに広義では妹萌え本です。

テーマ : ライトノベル - ジャンル : 小説・文学

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